『脳の右側で描け』を読了したので、レビューしていきたいと思います。
かなり文章が多くてなかなか硬派な本ですが、
とても勉強になった一冊です!
目次
脳の右側で描くメリット
この本は一貫して、
『左脳ではなく右脳で絵を描く』ということに重点を置いています。
なぜ右脳で絵を描いた方が良いのかというと、
左脳は実物ではなく記憶の中のイメージを利用する傾向にあるためです。
それに対し、
右脳は実物を率直に観察して理解しようとする性質があります。
「記憶の中のイメージを使うのが何でダメなの?」って話になると思うのですが、
記憶の中に偏見が混ざっていると、誤ったイメージで描いてしまうからなんです。

上記の図は、左脳と右脳を使ってそれぞれ描いたりんごです。
例えば、左脳だけで絵を描くと左のようなイメージになります。
こちらは完全に何も見ずに記憶の中だけのりんごのイメージを描き写しました。
(実はここまで簡素な記憶ではないですが、あえて露骨に描きました)
完全にシンボル化されたりんごの絵になっていますね。
しかし右脳だけで絵を描くと、右のようなイメージになります。
こちらは実際に置かれているりんごを観察してそのまま描き写したものです。
しかし左脳が優勢になっていると、
実物を見ながら描いても左側のようなシンボル化された絵を描いてしまうわけです。
右脳が優勢の場合は、
どんな思考にも邪魔されずに実物そのままの絵が描けるようになります。
そのため『脳の右側で描け』では、
左脳の活動を邪魔して右脳を優勢にできるテクニックを紹介しています。
だからこそデッサンのように実物そっくりに模写をするような方には、
是非読んでいただきたい内容の本となっております!
章の流れとしては『理論説明→実習』の繰り返し
『脳の右側で描け』では章ごとにテーマが分かれていて、
大体『理論説明→実習』の流れで話が展開していきます。

これは結構有名な目の錯覚だと思いますが、
右ページは「絵を上下逆さまにすると何が描かれているか認識できなくなる」
という図になります。

本をひっくり返してみると…
この写真のおっさんは誰かと思いきや、
かの有名なアインシュタインだったのです!
このように写真を逆にするのも、
左脳の活動を妨害して右脳の活動を優勢にさせるための作戦です。
『脳の右側で描け』にはこういったテクニックが多く盛り込まれています。

そして、理論解説後には実習のためのページもあります。
左脳は知っている対象を見た時、
記憶の中にあるシンボルに当てはめようとしてしまいます。
しかし見本を上下逆転させると、
「見ているものが何なのか認知できなくなって左脳が活動を放棄する」
その性質を利用して、逆さのまま描くことで本物そっくりに描ける!
というような仕組みになっております。
実習をこなすならピクチャープレーンが必要
ただ『脳の右側で描け』では、
『ピクチャープレーン』という道具を使う実習が多くあります。
この『ピクチャープレーン』という道具は『デッサンスケール』とも呼ばれており、
方眼紙のようなグリッドが引いてある、中が透明になっている額縁のような道具です。
(なんというか独特なので、こういった説明しかできませんでした😅)
これを通して模写する対象を見ることにより、
グリッドのおかげでどこからどこまで線を引けば良いのか感覚が掴みやすくなります。
まあ、以下の記事で紹介していた模写法と同じような使い方ですね。
なのでデジタルで練習するなら、
見本の画像と描き写すパレットにグリッドを引けば再現できると思います。
もしアナログや実物の模写にこだわるのであれば、
『ピクチャープレーン』を導入してみるのも検討してみてください!
おわりに
『脳の右側で描け』は、かなり深い内容の本でした。
あまりに深すぎる内容のため、
恐らく初心者にはあまり向かないのかな~とも思います。
(ただ、内容自体はデッサン初心者に向けたものでもあります)
文章も長めで難解なので、
読みきれずに積み本になる可能性が高いです。
しかし脳科学や心理学を活用した絵の描き方になりますので、
ロジカルな手段で絵を描いてみたいという方に向いているかもしれません。
科学的かつ実用的なテクニックが学べるという意味では、
唯一無二の本だとも言えると思います。

ぼーる丸
難しい本ですが、
内容を理解できれば確実にデッサン力は上がると思います!