イラスト制作向け液晶モニターの選び方!発色の良いカラーマネジメントディスプレイがおすすめ!

7 min
イラスト向け液晶モニターの選び方!

イラストを描いているときに、
特定の色が塗りづらい
と感じたことはありませんか?

もしくはイラストを長時間描いていて、
目が疲れて描き続けられない
と思ったことはありませんか?

実はその悩み、
液晶モニターの変更で解決できます!

ぼーる丸は液晶モニターを3台、液タブを1台所持しています。

そんな液晶モニター選びに慣れ親しんだ私が、
イラスト制作向け液晶モニターの選び方の極意を公開致します!

低品質な液晶モニターのデメリット

デジタルイラストを描く上で、
液晶モニターなんて映ればなんでも良いでしょ~
と思っているのでしたら、本当にもったいないです!

低品質なモニターを使っていると、
どんな現象が起こるのかご説明致します。

色合いがおかしいイラストが描けてしまう

一生懸命カラーイラストを描いたとしても、
イラストを描くときに使っていたモニターの発色が悪いせいで、
他のモニターから見るとイラストの色がおかしく見えてしまう可能性があります。

同じイラストを3枚のモニターに表示させた写真を見ていきましょう。
それぞれの色合いにご注目ください。

Cintiq 27QHD

Cintiq 27QHD Touch

PD2700U

PD2700U

PA242W

PA242W

これらは同じ蛍光灯の下で撮った写真ですが、
写真を見比べるだけでもこれだけ色合いが違うのです!

ちなみにそれぞれのモニターのスペックについては以下の通り。
Cintiq 27QHD Touch
価格:30万円(※液タブのため高額)
パネル:IPS(AHVA)
色空間:Adobe RGB

PD2700U
価格:6万円
パネル:IPS(AHVA)
色空間:sRGB

PA242W
価格:10万円
パネル:AH-IPS
色空間:Adobe RGB

どれも割と高額な方の液晶モニターになります。

しかし、低品質な液晶モニターでは、
これ以上に再現度の低い色で表示されているわけです。

つまり、そういったモニターでどんなに頑張って絵を描いたとしても、
他の人の液晶モニターで表示すると派手すぎ・地味すぎたり、
もしくは特定の色だけおかしなイラストが出来上がってしまいます。

知り合いのイラストレーターさんが色盲で色塗りに苦戦されていますが、
モニターが低品質なだけでそれと近い状態になるわけです。

特に低品質ディスプレイの場合、絵を描くときに特定の色が塗りづらいですね。

私の場合、肌色が塗りづらくて悩んでいたのですが、
ディスプレイを変えたことにより色の塗りづらさが改善されました。
(色の微妙な差がよく見えないので、適切な色を塗ることができなかったわけです)

そのためカラーイラストを描くイラストレーターとして好ましいのは、
正確な色を表現できるモニターを導入するべきということです。

長時間液晶モニターを眺めると目が疲れてしまう

昔、安物のTN液晶モニターを使っていた頃の話ですが…

ぼーる丸

ぼーる丸

なんかそんなにモニター眺めてないのに、目が痛え!!!

私は『すぐ目が痛くなってしまう症候群』になっていました。

何故こうなってしまうのかというと、
低品質なモニターの中には目潰しモニターというものが存在します。
(ギラつきを感じる液晶モニターのことを指します)

大まかなパネルの分類に、
TN・VA・IPSというものがあるのですが、
その中でもTNモニターは目に優しくないものが多いですね。

しかしTN液晶モニターは特に格安なので、
安さ重視で液晶モニターを選ぶとその罠に引っかかってしまうというわけです。

今使っているモニターは大丈夫?

実はモニターの発色性能を測ることができる良いサイトがあります。

以下のページにディスプレイの画質の差をチェックする方法が書いてあります。

上記ページのチェック方法で違和感があったのであれば、
モニターの買い替えを検討する必要があるかもしれませんね。

液晶モニターの選び方

上記で解説したようなデメリットを回避するには、
色再現度にこだわりつつ目に優しいモニターを選ぶ必要があります。

両方兼ね揃えているモニターを探すのはなかなか難しいですが、
以下で紹介するポイントを知ることで高品質な液晶モニターを選びやすくなるはずです!

解像度はフルHD~WQHDがおすすめ

解像度についてはフルHDからWQHDがおすすめです。

フルHD1920×1080
WQHD2560×1440
※単位・・・px

ちなみに更に解像度の高い4Kのディスプレイもありますが、
こちらはPCによってはスペック不足になる可能性があるためおすすめできません。

Windows10では高解像度に対応しているとは言えず、
文字の小ささなどに悩まされることが多い印象です。
(MacではRetinaディスプレイもあるため、4K以上の解像度に最適化されています)

また4Kを導入するよりかは、
より作業効率が向上するデュアルディスプレイ以上にするのをおすすめします。

私の環境はトリプルディスプレイですが、非常に快適に作業できています。

また画面の大きさですが、
置き場所が許す限り大きめの方が良いと思います。

フルHDであれば24インチ以上
WQHDであれば27インチ以上を推奨します。

パネルはIPSの液晶モニターを選ぶ

パネルに関してはIPS一択です。

何故なら、目に優しくて視野角による輝度・色変化が少ないからです。

妥協するにしてもTNとIPSの中間のVAを選んだ方が良いですが、
VAもあまりカラーイラスト用モニターとして選ぶべきパネルとは言えません。
(白黒イラスト・漫画のみならなんとか使えるレベルです)

TN・VA・IPSの特徴は以下の通りです。

TN安価だが、視野角の範囲と色再現度が不十分
VA価格は中間だが、視野角の範囲も中間かつ白黒の色再現度が高い
IPSやや高価だが、視野角は広範囲で色再現度が全体的に高い

そのため、色再現度にこだわるならIPSを選ぶようにしましょう。

TN・VA・IPSについて詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。

IPSにも更に種類があり、以下の記事でわかりやすく解説されています。

上記の記事を参考に、私は目に優しいAH-IPSの『PA242W』を選びました。
(おかげで私の目は疲れ知らずになりました。圧倒的感謝…!)

sRGBもしくはAdobe RGBが100%に近いモニターを選ぶ

液晶モニターで表現できる色の範囲のことを色空間(カラースペース)と言います。

色空間は色々とありますが、基本的にsRGBとAdobe RGBだけ抑えておけば大丈夫です。

sRGBWeb上で表示する画像に適した色域を表現できる
Adobe RGB印刷後の色に近い色域を表現できる

基本的にsRGBよりAdobe RGBの色域の方が広いです。

上記のパーセンテージが高ければ高いほど、
その色空間の色域の再現度が高い
ということになります。

例:sRGB100%、Adobe RGB99%

ただ、色域が広ければ良いというわけではなく、
多く流通している液晶モニターのほとんどはsRGBになるため、
Web上で公開するイラストを描く際にはAdobe RGBまでは必要ないと思います。

Adobe RGBで描いたイラストは他の液晶モニターだとくすんだ色に見えるため、
必要があれば導入するべきというレベルです。

逆に印刷後と同じ色彩でイラストを描きたい場合は、
Adobe RGBで表示できる液晶モニターを持っていると有利
になります。

雑誌や同人誌でカラーイラストを掲載する機会がある場合には、
Adobe RGB対応のモニターの導入を検討してみてはいかがでしょうか!

sRGBとAdobeRGBの違いは、以下の記事がわかりやすいです。

カラーキャリブレーション機能で発色の調整ができるモニターを選ぶ

モニターの色再現度をさらに向上させるなら、
発色の調整ができる液晶モニターを選ぶのが好ましいです。

カラーキャリブレーションの重要性については、
以下の記事で学ぶことができます。

モニターのメニューから色調整を設定できるだけでもありがたいですが、
ハードウェアキャリブレーション可能な液晶モニターならより良いですね。

ハードウェアキャリブレーションとは、
モニターの色を外部から読み込んで、環境に合った色に調節する調整方法です。

モニターにセンサーをぶらさげてカラーキャリブレーションを実行します。

ただ、外部機器が必要なのと、
ハードウェアキャリブレーションに対応している液晶モニターは比較的高額です。

ちなみにぼーる丸が所持しているハードウェアキャリブレーション用センサーは、
以下の機種になります。(『PA242W』用に購入しました)

センサーとモニターが相互に対応していないと使用できないので注意!

ソフトウェアキャリブレーション(モニターの機能で色調調整)と、
ハードウェアキャリブレーションの違いは以下の記事からご確認ください。

色ムラの補正機能があるモニターを選ぶ

実はここまで紹介した条件を満たしても、画面に色ムラがあると台無しになります。

色ムラとは、モニターの端っこなどの一部分が違う色として表示されてしまうことです。

以下の記事をご覧いただくとわかる通り、
色ムラの補正機能の有無により色の表示精度が変わってきます。

色ムラは機器の問題なのでカラーキャリブレーション機能でも修正することができないため、
色ムラの補正機能が付いているか事前に確認することをおすすめします。

おすすめのイラスト向け液晶モニター

さて、ここまで解説させていただきましたが、
実際に選ぶのは大変だと思うのでおすすめの液晶モニターをご紹介します。

ぼーる丸

ぼーる丸

ぼーる丸イチオシの液晶モニターです!
迷ったらこれを買おう!

低価格帯でおすすめなモニター

近頃は安価で色再現度の高いモニターも出てきています。

ただ、不具合が多かったり一部の機能がイマイチだったりするので、
その点を理解した上で購入を検討しましょう。

ASUS ProArt PA248QV

低価格帯で一番おすすめなモニターは『ProArt PA248QV』です。

画面解像度WUXGA(1920×1200)かつsRGB100%カバーの上、
色精度(ΔE<2)を満たすようにキャリブレーションされているので、
初心者でも安心して高精度の色彩を楽しむことができるようになっています。

特にWUXGAだと画面の縦横の比率が16:10になるという点がポイントが高く、
Wacomのペンタブと同じ比率となり読み取り領域を最大限に使うこともできます。
(フルHDの場合、ペンタブと縦横の比率が合わないため一部領域しか使えません)

比較的新しい商品でもあり、
このモニターが今後のスタンダードになっていくだろうと予想しています。

BenQ PD2700Q

ハードウェアキャリブレーション未対応ですが、
モニター側の設定で色調整ができて色再現度も素晴らしいIPS液晶モニターです。

BenQ PD 2700Q』もsRGB100%カバーとなっています。

しかもWQHDなので、フルHDよりも画面の解像度が高いですね。

これの4Kバージョンを使っていますが、概ね満足な品質なので
この液晶モニターは自信を持っておすすめできます。

BenQ SW2700PT

同じくBenQですが、
こちらはAdobe RGBを99%カバーしております!

しかもハードウェアキャリブレーションにも対応!

解像度もWQHDかつIPS液晶!

この価格帯ではありえないスペックです!コスパ激高!

予算は少ないけどAdobeRGB対応機を買うならこれ一択ですね。

高価格帯でおすすめなモニター

高価なモニターでおすすめと言ったら、
メーカー的にはEIZONECの液晶モニターの二択になります。

NEC MultiSync LCD-PA243W-BK

created by Rinker
NEC
¥259,530 (2023/06/06 05:44:13時点 Amazon調べ-詳細)

ぼーる丸が所持している『PA242W』の後継機種です。

価格はバカ高いですが、それだけ出す価値のある発色と言えるでしょう。

EIZOの上位機種に唯一対抗できる画質と言っても過言ではありません。

もちろんハードウェアキャリブレーションにも対応しており、
モニター側でも色々と設定することができます。

EIZO ColorEdge CS2420-ZBK

EIZO製品の中では低価格の部類になりますが、
イラストで使うには十分なモニターだと思います。
(それでもまあまあ高いんですけどね)

スペック的にもAdobe RGB99%まで対応しており、
一通り必要な機能が実装されているように見えますね。

イラストレーターの吉田ヨシツギ氏が試用したときのレポート記事もあります。

記事を見たところ、ハードウェアキャリブレーションにも対応しているようですね。

専用キャリブレーションセンサーを含めてもまだ安いという感じです。

created by Rinker
EIZO
¥9,800 (2023/06/06 05:44:16時点 Amazon調べ-詳細)

いやーこのスペックがこの価格で買えるようになるとは、いい時代になりましたね~

私が今追加で買うならこの『CS2420-ZBK』を選ぶと思います。
(NECの液晶モニターは高すぎて2台目はキツイ…)

余談:HDR対応のディスプレイってどうなの?

液晶モニター選びとはあんまり関係がないので後回しにしたのですが、
High Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)、通称HDRについても触れておきます。

最近HDR機能搭載ディスプレイが増えてきましたが、
現状HDRはイラストを描く際には必要無いと思います。

詳しくは以下の記事をご覧いただきたい。

HDRとは、High Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)の略称で、従来のSDR(スタンダードダイナミックレンジ)に比べてより広い明るさの幅(ダイナミックレンジ)を表現できる表示技術です。

下図の通り、一般的なSDR映像では日陰が黒つぶれしたり日向が白飛びしたりしますが、HDR映像では明るい部分と暗い部分どちらの階調も犠牲にすることなく、より自然でリアルな描写が可能になります。

引用:よくわかる、HDR徹底解説! HDRとは – EIZO

つまり、よりダイナミックレンジを広げることで、
よりコントラストの強い映像を表示させるという技術
になります。

ただHDRは、より美しい映像で楽しむための機能であり、
従来の色合いを確認するために利用する機能ではないので必要ありません。

HDR対応のディスプレイを使ってイラストの色を塗っても、
他のディスプレイでそのイラストを確認すると地味に見える結果になると思います。

おわりに

最後に補足します。
最近Adobe RGB 100%を謳う製品が流通していますが、
あれもあんまりあてにしない方が良いです。
(フィリップスの液晶モニターとかね)

色空間などのスペックよりも、
実物を見てしっかりとした発色が出ているかを確認するべきです。

そのため、電気屋や展示会などに行って実際の発色を確かめるのがベターですね。

他にも『カラーマネジメント』で調べると発色特化の液晶モニターが探せるので、
是非いろんな液晶モニターを見て検討してみてください。

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おすすめは上記で紹介した液晶モニターになりますが、
LGやEIZOのFlexScanシリーズも悪くないとだけ言っておきます。

品質を求めすぎると金額が青天井になるため、ほどほどにしましょう!

ぼーる丸

ぼーる丸

正確な発色の液晶モニターにすれば、絵を描くのがより楽しくなるぞ!

ぼーる丸

ぼーる丸

イラストレーター

在宅ワーク専門のフリーイラストレーター。
イラスト×在宅ワークで稼ぐ方法を発信中。

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